北海道旅行記 2日目(糠平湖→幌加温泉→阿寒湖→釧路→札幌)
この日記は前回の続きです.
前回までのあらすじ
寄り道をしながら350kmの道のりを越えてやってきた糠平温泉.当初の目的であった然別湖コタンの氷上露天風呂への入浴は無事に達成できました.
しかし時間はまだあります.明日の朝九時までに札幌に到着できさえすればよいのです.
そして始まる怒涛の北海道旅行2日目.
起床
東大雪ぬかびらユースホステルで迎えた朝.時刻は10時.チェックアウトまで後1時間.
だいぶ遅い起床ですが,これは普段から夜型体質であることと,ユースホステルに付属している温泉に遅くまで浸かっていたためです.
前日の夜に用意しておいた蒙古タンメン中本をかっこみ,ギリギリでチェックアウトを済ませて出発です.
タウシュベツ展望台・タウシュベツ川橋梁
前日はユースホステルに速やかに泊まったため,十分にこの辺を観光できていません.そこでまずは糠平温泉観光です.
糠平湖には,旧士幌線タウシュベツ川橋梁という観光スポットがあります.
そもそも糠平湖は人工ダム湖です.現在は湖の底ですが,元々この場所には鉄道が通っていました.その際,当時のタウシュベツ川を跨ぐために作られたのがこの橋梁でした.1939年のことです.
1955年の糠平ダム建設に伴い,士幌線の当時の線路は撤去され,湖を避けるように新線が建設されました.しかし,この橋梁だけは湖の中に残されることになったのです.こうして,湖にぽつんと浮かぶアーチ橋という摩訶不思議なスポットが誕生することになりました.
タウシュベツ川橋梁の興味深い点は,季節によってその表情を大きく変えるというところです.
糠平湖はダム湖ですから,季節によって水位が変動します.「湖にぽつんと浮かぶアーチ橋」の光景は,春から夏ごろまでしか見ることができません.秋にはダム湖の水位が上昇し,橋梁は完全に水没します.そして1月ごろになると水位が下がり,凍結した湖面に再び姿を現します.
加えて,このような過酷な変化を毎年経験することから劣化が激しく,崩壊は時間の問題とのこと.ある時期にしか観測できない上にいつ崩壊するともわからない廃墟.なかなかエモいと思いませんか?
湖が完全に凍結している時期であれば,湖上を渡って橋梁に接近することが可能なようですが,今回は既に氷が溶け始めており,湖への侵入は禁止されていました.
そのため,糠平湖とタウシュベツ川橋梁を西側から見渡すことのできるタウシュベツ展望台から観察したという形になります.

三国峠展望台
糠平湖から国道273号線を30kmほど北上すると,三国峠が現れます.
夏は展望台脇の休憩所でハンドドリップコーヒーやアイスクリームを楽しめるらしいですが,今回は休憩所自体が閉まっており,そういったグルメを満喫することはできませんでした.
三国峠の最大の特徴は,北海道の国道としては最も標高の高い峠(標高1139m)であるということです.
標高1100mとなると,ちょっとした山の頂上と同じくらいありますから,結構すごい高さです.
そのことを実感したのは天候によってでした.上の画像を見ればわかるとおり,糠平湖を出た時には空は一面の晴れ模様だったのです.しかし,三国峠に近づくにつれ急速に天候が悪化.たった1時間で,峠に差し掛かった時点では,空は完全に雲に覆われ,霧と若干の雪に包まれるという状態になったのです.
そんなわけで,本来ならば帯広から釧路までを一望できるスポットだったものの,景色はほとんど見ることができませんでした.
しかし,霧に包まれた峠道もそれはそれでエモみを感じる風景で良かったなあと思います.松見大橋から一定の傾斜で螺旋を描く道路が大変美しかった.

幌加温泉湯元 鹿の谷
昨日さんざん温泉に入りましたが,この日も飽き足らず温泉に.
糠平湖と三国峠のほぼ中間で,国道273号線を横にそれると,幌加温泉湯元鹿の谷に到着します.
幌加温泉は人の住んでいる気配のない樹海に囲まれた場所に位置しているものの,国道から近く,山道を通る必要もない,大変アクセスの良い秘境温泉です.
本題に入る前に,色々と語ることがあります.
まず,アクセスの良い理由の一つが天然のロードヒーティング.鹿の谷に近づくと道路から雪も氷も消え,走りやすい坂道になるのですが,これは温泉を道路にかけ流しているためです.なんと贅沢な.

そして,建物の目の前には鹿さんがスタンバイ.さすが鹿の谷.

温泉には2時間ほど浸かっていたのですが,その間ずっとこうしていたようです.どういう意図があったのかはわかりませんが,もしかすると温泉ロードヒーティングで暖を取っていたのかもしれません.
幌加温泉の面白い点は,それぞれ泉質の異なる4つの温泉が楽しめることです.
建物内にはナトリューム泉,鉄鉱泉,カルシューム泉の3つの温泉が並んでいます.
更に屋外には露天風呂も完備.スリッパを履いて10mほど歩くと,崖の上に置かれた浴槽に到着します.露天風呂もまた泉質が違うようで,後から調べたところによると硫黄泉とのことでした.
あらゆる温泉を一度に楽しめるにも関わらず,入浴料金は500円(子供250円).しかも我々は前日に宿泊した東大雪ぬかびらユースホステルで事前に入浴券を購入していたので,300円で入浴できました.1温泉100円を切っています.すごい.
施設はだいぶ古めかしい感じがありますが,昔ながらの湯治場という感じでそれもまたとてもエモい.
ちなみに1泊3000円で宿泊も可能なようですが,ご飯や寝具の提供はなく,部屋だけ貸してもらえる完全素泊まり形式です.無限に温泉に浸かるには良いかもしれません.
我々は初手で露天風呂にゆっくり浸かり,その後内風呂3種を2往復してフィニッシュしました.もう温泉成分まみれです.
温泉(しかも混浴)なので画像を載せられないのが残念ですが,とても趣深い温泉でした.ぜひ自分の目で確かめていただければと思います.

阿寒湖・あいすランド阿寒でワカサギ釣り
ここまで2日目は道央糠平湖周辺を楽しんだわけですが,ここからは一気に東に飛びます.
私は温泉効果で気絶していたのでよくわからないのですが,気づいたら阿寒湖に着いていました.おそらく国道273号線を南下し,241号線沿いにずっと走ったものと思われます.
阿寒湖に来た理由は一つ,ワカサギ釣りです!1日目の桂沢湖での伏線を回収しました.
氷結した阿寒湖の上ではあいすランド阿寒という各種レジャーを集積したイベントが開催されています.
時間に余裕があれば他のアクティビティも楽しんでみたかったですが,今回はわかさぎ釣り一点賭けとなりました.
わかさぎ釣りには,本物の湖上で釣る天然わかさぎ釣りと,生簀に放流されたわかさぎを釣るわかさぎ釣り堀があります.
しかしせっかく阿寒湖まで来たので,釣果0覚悟で天然わかさぎ釣りに挑戦しました.
料金(釣具一式) | 1650円 |
営業時間 | 午前8時から日没まで |
その他 | 釣ったわかさぎを天ぷらにしてくれるサービス券つき |
日没までは約1時間.釣り道具セットを借りて,わかさぎ釣りテントへ向かいます.補足ですが,湖上は風も強く,めちゃくちゃ寒かったです.

1時間の釣果ですが,2人合わせて3匹でした.釣り初体験,餌を付けて水に沈めれば釣れるくらいの知識しか無いことを考えると,よくやったほうではないかと思います.
タイムオーバーによりわかさぎ3匹を持って帰還.湖入口近くのお店に天ぷら券とともに提出しに行きます.補足ですが,日没後の湖上は死ぬほど寒かったです.
しばらく待つとわかさぎたちが帰ってきました.

流石に2人で3尾ではかわいそうに思ったのでしょうか,お店の方の好意で,3倍ほどのわかさぎにありつくことができました.圧倒的感謝…!
タンチョウ観察センター
阿寒湖周辺はタンチョウが生息していることで有名です.そこで,タンチョウ観察センターに突撃することにしたのですが,時刻は既に18時.日没時刻はとっくに過ぎており,仮にタンチョウがいたとしても全く見えないだろうという暗さです.
というわけでタンチョウ観察は断念.
阿寒湖から更に南進して,釧路市街を目指します.
釧路観光
釧路に到着したのは19時頃.まずは夕食にありくことを目的としました.
レストラン泉屋総本店
釧路のローカルフードとして有名なスパカツを食べてみたい,しかも元祖のお店で…
というわけで,レストラン泉屋総本店にやってまいりました.
普通サイズ961円でもすごいボリュームです.悲しいことにスマホの充電が切れてしまったため,画像をお見せすることができません.
ちなみに友人は大盛りを頼みました.
米町展望台
海沿いの,しかしちょっと高台になっている場所に米町展望台があります.灯台っぽい外見をした展望台になっていて,釧路市街を見渡すことができます.
海沿いの工場群に灯る明かりがとても綺麗でした.悲しいことにスマホの充電が切れてしまったため,画像をお見せすることができません.
帰還の境界越え
現在時刻は夜の8時半.ここから,札幌まで250kmの道のりを走破しなければなりません.
それだけでもまあまあキツいのですが,本当の地獄はここからです.
なお,友人氏は大盛りスパカツの影響でダウン.行けるところまでこちらが運転し,その間に睡眠をとってもらう作戦としました.
自分はなんとか帯広市街を抜けるところまで運転.ここで眠気が限界に達し,友人氏にバトンタッチ.
帯広から日勝峠を抜け,札幌へ向かうまでの運転を託します.
暴風雪警報
ラジオを聞いてたら,なんと札幌市に暴風雪警報が出ていることが発覚.当然,日勝峠も相当の悪状況であることが予想されます.
西に向かうにつれ風も次第に強くなってきます.
そして近づいてくる,日勝峠前最後の高速道路入場口,十勝清水IC.日勝峠を無理やり通過するか,高速道路に課金するかの判断が迫られます.
「悪状況の日勝峠を超える経験をしてみたい」という理由で,日勝峠に突っ込むことにしました.なんという若気の至り.
ホワイトアウト寸前の日勝峠
高速道路に乗るべきでした.視界はホワイトアウト寸前,ヘッドライトに照らされた視線誘導柱だけが,今正しい場所を走っていることを伝えてくれます.
こちらはさっきまでの運転の疲労により眠気が限界にきており,申し訳なさを感じつつ気絶.友人氏が実質単独で日勝峠チャレンジをすることになりました.
川端駅→札幌
日勝峠を降り,夕張を越えて川端駅に達したところで友人氏の体力も枯渇.こちらは睡眠を取ってわずかに体力が回復したので,運転を交代します.
札幌市街に入ったところで再びホワイトアウトに襲われた以外はこれといった異常事態に見舞われることもなく,無事に帰還することができました.
まとめ
二日目の移動距離は428km.1日目と合わせると700kmを超える距離を,2日間,2人で走破しました.
知識豊富な友人氏のおかげで道央のアクティビティも満喫することができ,めちゃくちゃ楽しかったです.
また行きたいなあ.
次回,「流氷を求めて網走へ」.日記に書いて記録しておこうと思ったのに,気づけば半年くらい放置してしまいました.記憶が薄れないうちに書きます.