北海道旅行記 1日目(札幌→富良野→然別湖→帯広→糠平湖)
北海道旅行をしました.その時の日記です.
参加者
ふぇる
ドライブ歴はそれほどでもない.免許を取得してからしばらくは全く運転していなかったが,最近になってドライブの楽しみに目覚めた.北海道の地理にもあまり詳しくない.

K
ドライブ歴はそこそこ.自分と同じように,免許を取得してからしばらくはあまり運転していなかったらしいが,ここ1年くらいで異常なペースで運転するようになった.鉄オタなので北海道の地理にも詳しい.今回のガイド役.

冒険への召命

季節限定の然別湖コタンっていうのがあってね.なんと凍った湖の上で露天風呂に入れる
コタンとは,アイヌ語で「村」のこと.北海道の重心中心から約30km,そして北海道で最も高いところにある然別湖の上に,冬の2ヶ月間だけ幻の村が現れる.それが然別湖コタン.
今回の旅の最大の目的は,然別湖コタンの氷上露天風呂に入ることです.なお,お財布事情の問題から,有料道路の使用を禁止しています.
札幌→富良野
札幌でレンタカーを2日間借りて,朝10時に出発.下道を使い,江別,岩見沢,三笠と通過していきます.運転はK氏.
この日は平日.札幌市街は車が混雑していたものの,江別市を過ぎると交通量もまばらになってきます.
桂沢湖
11時半頃,桂沢湖に到着.休憩も兼ねて,湖を観に行きました.
桂沢湖は、桂沢ダムの完成によりできた大人造湖です。湖の周囲は62kmあり、森林にかこまれた自然景観の美しいところで、道立自然公園に指定されています。また、桂沢湖周辺は太古のロマンを秘めた化石の宝庫として世界的にも有名で、アンモナイトやその頃の生物の化石がこの地で多数発見されており、三笠市立博物館にもその一部を展示しています。
https://www.city.mikasa.hokkaido.jp/sightseeing/detail/00000039.html

湖畔を下っていくと,湖上にはそこそこの数のテントが.どうやらみんなワカサギ釣りに来ているようです.


わかさぎ料金表
道具をすべて持っていけば,釣り穴使用料の300円のみでワカサギ釣りが可能な模様.
逆に何も持っていかない場合,最低限必要なものとして貸し竿,仕掛け,餌,貸しテント,貸しイス,釣り穴を想定すると3950円ほどかかるようです.
売り竿 | 1700円 |
貸し竿 | 1200円 |
仕掛け | 350円 |
餌 | 200円 |
貸しテント | 2000円 |
貸し長靴 | 200円 |
貸しイス | 200円 |
釣り穴使用料(1穴) | 300円 |
ワカサギ釣りは北海道の冬のアクティビティとして魅力的ではありました.しかし,今回の本題は然別湖コタン.釣りとなるとかなり時間を食ってしまいますから,桂沢湖は見学にとどめて足早に出発します.
富良野
13時頃,富良野に到着.この頃にはそこそこ空腹になっていたため,富良野名物のオムカレーをいただくことにしました.
オムカレーとは,要はオムライスにカレーをかけたものです.割と雑な地元グルメ.
しかしパンフレットによると,「富良野オムカレー」にはけっこう厳格なルールが定められているようです.
【定義】
富良野オムカレーは、国民食のカレーとオムライスを組み合わせ、地元食材と提供スタイルにこだわった新カテゴリーのご当地カレー
「富良野オムカレー」のルール
第1条 お米は富良野産を使い、ライスに工夫を凝らす
第2条 卵は原則 富良野産を使い、オムカレーの中央に旗をたてる
第3条 富良野産の「チーズ(バター)」もしくは「ワイン」を使用する
第4条 野菜や肉、福神漬(ピクルス)なども富良野産・北海道産にこだわる
第5条 富良野産の食材にこだわった一品と「ふらの牛乳」をつける
第6条 料金は税抜1,100円以内で提供する
http://www.furano-omucurry.com/
※富良野産とは富良野市,上富良野市,中富良野市,南富良野市,占冠村のエリアを指します.
※季節等により他産地(国産)の食材になる場合があります.
※「ふらの牛乳」が不足あるいは牛乳が苦手なお客様には,富良野産「にんじんジューシ」をつけます.
※富良野産の卵が不足の際には,北海道産の卵になる場合もあります.
富良野オムカレーパンフレット 2020年度版
これらのルールを満たした合法オムカレー店が,2020年度版のパンフレットには9店紹介されていました.
今回訪れたのはその中の一つ,K氏の推薦による「ふらの味処 笑楽亭」です.複合商業施設フラノマルシェ(2)の中にあるため,駐車場等のアクセスも良好.

注文したのは通常のオムカレー.上富良野産ポークソーセージと上富良野産ゆめぴりかを使っているのが売りだそうです.
オムカレーにはサラダとふらの牛乳つき.オムカレーも美味しかったのですが,これらのサイドメニューもめちゃくちゃ美味しかったのが印象的です.
サラダではドレッシングなしでも甘みを感じることができました.ふらの牛乳はノンホモジナイズド(振るとバターになるやつ)で,実はわたしは牛乳がそれほど好きではないのですが,美味しく飲むことができました.
北海道中央緯度観測標
富良野は北海道の中心を自称しており,「へそ祭り」なる謎のイベントも開催されているそうです.
しかし,国土地理院の発表によれば,正式な北海道の重心中心は富良野ではなく新得という場所になります.
どうしてこうなったかというと,国土地理院の計算では北方領土を面積に含めているのに対して,富良野はそうではないからです.
実際に,北方領土を除外し,本島のみで実験を行うと,富良野が北海道の重心中心であることが確認できるようです.
富良野→然別湖
ここから運転を交代.私の番です.狩勝峠を越えて然別湖を目指します.
狩勝峠展望台
狩勝峠の頂上には展望台があり,帯広方面を見渡すことができます.駐車場もあり,峠越えの休憩地点としてぴったり.
この日は雲が厚く景色はあまり見えませんでしたが,晴れた日にはとてもいい感じに見えるとのこと.
狩勝峠展望台. 展望台に登る階段は雪に閉ざされていたので,その手前から撮影.
新得そばの館 レストラン玄穣
狩勝峠を越えたところに新得そばの館という施設があります.
新得は昼と夜の寒暖差が大きく,そのため蕎麦が美味しいことで有名だそうです.新得そばの館では手打ちそばの体験などもできるようですが,到着したのは15時半ごろだったため,レストランしか開いていませんでした.

私は蕎麦の違いがわかるような雅な人間ではありませんが,大変美味しかったです.
一日20食限定の寒晒しそばというメニューもあります.水温3℃前後の湧き水に2週間程度浸して寒風でゆっくり乾燥させているのが売り.
しかしこの日は流石に売り切れ.開店から1時間で売り切れることもあるくらいの人気メニューだそうです.予約も受け付けているそうなので,どうしても食べたい場合には予約するのが良さそうです.
然別湖コタン
雪が降り始め,試練の道と化した峠道を越え,16時半,ついに然別湖コタンに到着です.

然別湖の成因については,火山が川をせき止めてできたとする堰止湖説と,火山爆発による穴に水が溜まってできたとするカルデラ湖説があるとのこと.然別湖コタンでは堰止湖説を推していました.

今回の旅の主目的は然別湖コタンの氷上露天風呂です.営業時間は9時から20時までですが,氷上露天風呂と足湯は時間帯によって男女混浴が別れていました.
混浴 | 9時から17時まで |
男湯 | 17時から18時半まで |
女湯 | 18時半から20時まで |
到着したのは16時半で,我々は男ですから,残り2時間しか入浴できません.アイスバー等魅力的な施設もありましたが,ひとまず露天風呂へ向かいます.
然別湖コタンアイスバー. 運転と時間の都合上,酒を飲むことはかなわなかった.数量限定で氷のグラスによる提供も.
露天風呂には小さな脱衣場も完備.脱衣場も雪で作られているこだわりようです.
受付をしていたスタッフの方によると,温泉は湖畔の温泉からパイプで湖上まで引いてきているそうです.泉質はたぶん,そこそこ強い硫黄泉.
スタッフの方は然別湖ネイチャーセンターの方で,小さな頃からネイチャーセンターで働くのが夢だったとか,とてもエモい話も伺うことができました.

父親との一体化(キャンベル曰く 「At-one-ment」)のための祭壇は,サンドスター火山のカルデラの縁,世界のへそ,生命(フレンズ)と死(セルリアン)の源,天(星[スター])と地(砂[サンド])の架け橋であり,世界を成す4つの頂点(四神)がその中心に集まる場所である.
Kemonomyth
日が沈み湖全体が暗くなっていく中,男湯の時間いっぱいまで温泉に浸かり,世界の真理に目覚める等しました.
この日は少し曇っていましたが,晴れた日には星が超見えそうです.
温泉を出て,残りの施設を観光しました.アイスチャペルは然別湖コタンの最奥にあり,会場入口から一直線に繋がる道の果てにあります.邪教の祭壇じみた神秘的な空間が広がっていました.

他にも興味深い展示がいくつかあり,特に面白かったのはお酒の凝固点の違いを利用して気温を測るというものです.この時はワインまで凍っており,日本酒以降は凍っていなかったので,-6℃前後ということになります.
写真だけでは伝わらないかもしれませんが,夜の湖上はめちゃくちゃ寒いのです.
ジオイグルー横の展示. ワインまで凍結.

然別湖→帯広
当初の予定では,然別湖から北へ進路を取り,糠平湖畔で一泊する予定でした.しかしこの日(冬季ずっと?)は85号線が封鎖されていたため,南から大回りしなければなりません.
晩ごはんを食べる必要もありますから,一度帯広まで南下することにしました.
19時半に然別湖を出発.雪が激しくなってきたため,運転は再びK氏に交代.
然別湖から注ぐ然別川に沿って南下すると,十勝川との合流地点に帯広の市街が広がります.
帯広に来たからには豚丼を食べたいのですが,市街地に着いた時点で時刻は20時半.ほとんどの豚丼屋は20時に閉まっていたのでした.
帯広の豚丼
そんな中見つけた(おそらく)唯一の21時まで豚丼を提供しているお店がふじもり.ラストオーダーまで15分しか無いため電話でオーダーを入れて,なんとか豚丼にありつくことができました.無理を聞いていただき大変ありがたかった.

めちゃくちゃ美味しかったです.
興味深い点として,このふじもりというお店は株式会社藤森商会の系列店になります.帯広には有名な地元グルメとしてインデアンカレーがありますが,それと同系列のお店だったのです.
インデアンカレーも先日食べたのですが,この豚丼と同様に,家庭を感じる優しい味が印象的でした.
ふじもりは帯広で2番目においしい店を目指しています。
ふじもりのこだわり
私共は皆様にとって一番おいしいのはお宅の奥様、お母様の手料理だと思っています。ふじもりは帯広で2番目においしくて、雰囲気のいい店を目指しています。また、ふじもりは常にご家族連れが楽しくお食事できるお店でありたいと思っております。
ご家族連れが集まりやすい雰囲気のお店なら、一人で来るお客様にも、お友達と来るお客様にも、きっとくつろいでいただけるのではと考えているからです。
経営理念を味から感じるということはそうそうありませんが,インデアンカレーとふじもりに関してはそれが当てはまるように思います.閉店ギリギリで受け入れてくれたことを含め,忘れられない味になりました.

帯広→糠平湖
豚丼をかっこみ,帯広駅前観光の後21時半頃に帯広を出発.今日の宿である東大雪ぬかびらユースホステルを目指します.
運転は再び自分に交代.チェックインは23時までなので,そこそこ急がなければなりません.
田んぼの中を一直線に走る北海道らしい241号線を通過し,上士幌町で明日の朝食を購入しました.
音更川沿いの曲がりくねった273号線を通って,なんとか23時前に糠平湖に到着です.
東大雪ぬかびらユースホステル
ユースホステルだけあって,色々と面白いものがありました.
まずは客室に備え付けられていた百年双六.2019年にぬかびら源泉郷が100周年を迎えたことを記念したものです.
ただの双六とは違い,最初にゴールすることが目的ではないのが特徴です.すべてのプレイヤーはそれぞれ0℃の温泉を持っており,止まったマスの指示に従って湯温を変化させていきます.最終的に,湯温が42℃に最も近い人が勝利です.
私は温度上昇マスに止まり続け,ゴール時点で温度トラックを1週して温泉は99℃に到達.2着による「5℃まで湯温調節」を活かして無事に糠平温泉を蒸発させることに成功しました.(K氏が20+10℃で勝利.ぬるい.)



ドライブの過程で数多くの限界集落的な町を通ってきた身として,この場所で読むのんのんびよりには特別な感慨深さがありました(家に全巻あるけどね).
糠平温泉
双六で学んだ通り,糠平は温泉地ですから,ユースホステル内のお風呂も温泉なのです.硫黄というよりはナトリウム感のあるちゃんとした温泉です.
本日二度目の温泉ですが,3時頃までゆったり浸かって疲れを癒やしました.


風呂上がりに檸檬堂をいただいて,この日はフィニッシュです.実に濃厚な一日でした.
しかし驚くべきことに,この旅はまだ一日目なのです.長くなってきたので2日目の話はまた今度書きます.
1日目の総移動距離はおよそ350kmでした.